「乳白」、そして「忘白」へ

「触っていい？」「うん」

「あったかい」「見てもいい？」

「じゃあ一緒に」

 

海沿いの小さな町。

あの洞窟で、私たちの犯した罪。

 

「お前ら、何やってんだ？」

 

もし彼がいなかったら。

もしあの乳白がなかったら。

 

「ねぇ、」「なぁ、」

埋めたのは、どっち？

6/17(日)、4年前に上演し好評をいただいた作品、「乳白」の続編をお送りします。

 

幼い性の罪悪と、友人の死を引きずるエゴイズムについて綴った「乳白」は、一つ完成されたものとして、僕としても犯しがたいものでした。しかし、この度にのみやさんが当時の写真を展示してくださるにあたり、僕もまた今の位置から確認して、触れて、そして彼ら登場人物たちの次と今を、知りたくなってしまったのです。

 

タイトルは「忘白」。

ここでは前作について詳しく語ることは致しません。どうかコチラの脚本データをご覧ください。

 (今回の作品は、前作「乳白」ありきで創作しています。ご存知でない方はどうか、「乳白」をお読みになってから、お越しください)

 

登場人物・淳也のその後について思い巡らせた時間と、結実した物語があります。

そこには、当時22・23歳の僕が辿ったあれからの4年間が、確かに滲んでいるように感じられます。

 

「命を、諦められなくなっていた 」

 

淳也の言葉に全てを込めました。「乳白」の淳也、奈月、賢司。彼らを担った役者たち。

音楽の竹山諒、デザインの山田裕太郎、写真家・藤祐太郎さん、にのみやさをりさん。

 

そして触れてくれた全ての方へ。

いま、どうしていますか。心から、感謝申し上げます。

 

ありがとうございました。

 

 

朗読劇「乳白」「忘白」

企画・脚本　/　朝戸佑飛

 

二十代三十代という時間がある。それは誰にとっても等しく、唯一の時間だ。二度とない時間だ。

「乳白」・「忘白」の登場人物たち、そしてこれを形作る彼らは、その唯一の時間の中でこれでもかというほどもがいている。足掻いている。

私はそんな、彼らのもがきや足掻きが放つ輝きに、魅了された人間のひとりだ。

 

これらの作品を前にして、あなたは何を思うのだろう。登場人物の誰かに自分を重ね合わせるひともいるだろうし、作り手の誰かに自分を重ね合わせるひともいるだろう。もちろん自分とはかけ離れた世界の出来事と受け止めるひとがいたっていい。

 

そのどちらであっても。

 

あなたが一瞬でもそこで立ち止まり、己の生きざまを振り返らずにはいられない、そんな時間をもってもらえたら。自分の人生の主人公はいつだって自分自身であり、己の人生の責任はすべて自分にあるのだということを思い出してもらえたら。

 

私は嬉しい。

 

写真展「『乳白』、そして『忘白』へ」

企画・写真　/　にのみやさをり

 

あいつに似てるおまえに

あいつを透かしてみては

救われていた

 

慕情も罪悪も薄らいで

洞窟の匂いも忘れてく

 

「淳也、お前は一体、何に期待してたんだ」

 

それでも俺は

誰かの命を、諦められない

 

　にのみやさをり写真展

「乳白」、そして「忘白」へ

 

○展示　：　2018年6月11日（月）～23日（土）

○朗読　： 「忘白」

　　　　　　6/17（日）/  14:30〜 , 19:00〜（会場は30分前）

○会場　：　Cafe' nook

　　　　　　　東京都渋谷区代々木1-37-3 岩崎ビルB1（代々木駅「北口」より徒歩1分）

○料金　：　¥0

　　　　　　　※展示、朗読共に無料ですが、1ドリンクオーダーをお願い致します。

　　　　　　　※上演時間は45分程度を想定しています。

○予約　：　当記事コメント欄、あるいは各関係者まで直接ご連絡ください。

　　　　　　　※予約必須は朗読のみ

　　　　　　　※前作「乳白」の脚本データはコチラです。

 

●忘白　：　脚本・朝戸佑飛

　　　　　　演出・菊地史恩

　　　　　　出演・朝戸佑飛 / 佐藤修作

　　　　　　撮影・にのみやさをり

　　　　　　企画・株）Act・Arkham

　　　　　　協力・Cafe' nook