2017年も、二夜連続のクリスマス企画、無事に終了いたしました。昼は24日「よりいと」の稽古、深夜にnookを解放していただき、25日「cq.cq.cq.」の稽古と、怒涛の一週間でしたが、よい一年の締めくくりとなりました。
終えて想うことは、双方ともタイトルに込められた意思についてです。
「よりいと」、こちらは作中に登場する言葉ではありません。寄り糸、依り糸、縁り糸。
兄妹の紡ぐ一本一本が鈴音という姪っ子へと集約され、時に解れて、また紡がれる様が、40分という短い物語の中に表現されていたのであれば、僕は幸いに思います。イメージを選んだのは僕です。ちょっと、いいでしょ。
演劇というものは、ここでこうでこうだから、こう!、と結果を語ってしまえば簡単です。なのに、そこに行き着くためになんて遠回りをしているんだろう、といつも思います。小説も同じです。音楽なら3分間なのに。
だからこそ、そこに「お客様」が必要なのだと思います。共に過程を生きる「共犯者」がいて、初めて結実するものがあります。隣人愛制などという、怒られても仕方ないような遊びを交えましたが、本当に温かいお客様に囲まれて、座長の想いに至ったと感じております。
僕ら八焔座と、お客様とのヨリイトが、イブのnookで結ばれたのならば、それに勝る喜びはありません。
そして25日、「cq.cq.cq.」。
本番前から原作者・ヘイガさんのお客様もいらっしゃること存じていて、久しぶりに身体が震えました。
僕自身がファン心理でしかないところからスタートしていることもそうですが、あれだけ完成された作品です。そのイメージを壊してしまわないか、傷付けてしまわないか。不安でした。
しかし終えてみると、ヘイガさん並びに、ファンの方々も、最後の最後まで残っていただいて、「cq.」の話に華を咲かせてくださいました。僕にはそれが、何よりも嬉しいことでした。
お客様との会話が非常に興味深くて、ヘイガさんとも共有しました。
Q.「どんな海を想像していらっしゃいましたか?」
A.「暖かく迎え入れるような青々とした太平洋側でなく、白くさざ波たつ、勇気を持って踏み込む日本海側です」
Q.「どんな街をイメージしていましたか? 他の人間たちも普通に生活しているのですか?」
A.「していると思いますが、たぶん、コンビニはないような気がします」
cqの大ファンである僕が、他のファンの方とこんなお話ができたのです。
あがる。テンションあがってまう。
嬉しかったのは、僕自身のこういった感覚が、ヘイガさんのイメージと同じだったことです。
映画監督のある方は、「もう、冒頭のカット割りは出来た」と言っていました。
それから作中の「僕」と「君」の年齢について。
「13,14歳くらいで、10年経って22,23とか。それから、もし映画にするなら、その頃にはVoyagerの治療法は見つかっている。それでも『僕』は海を選ぶ、とか。そんなの、どう?」って。
おいおい!
これ以上おれを上がらせて、どうするつもりだ。あがる。あがってまう。Voyagerになっちゃう。
Cafe' nookの空間が、マスターの思い描いている空間がまさにそこにあるような気がして、本当に、幸せな夜でした。そしてイメージ写真を貸して下さいました写真家・しまりすさん。改めてありがとうございました。
終演後、「尾びれに見えます」といって下さった方、いらっしゃいましたよ。やったぜ!
「よりいと」にせよ、「cq.cq.cq.」にせよ、もっともっと、脚本に組み込みたいことや、語りたいこと、たくさんあったと思います。
しかし、それらをお伝えする以上に。
終演後ほぼ全員といっても過言でないほど残っていただいて、あれやこれやとお客様同士で話し合っている姿を、マスターと一緒にカウンターの向こう側から眺めたこと。大切に、ほんとうに大切な宝物です。
クリスマス企画は来年も開催すると思います。その頃には、元号も変わって、お客様の状況もきっと、なにかしら変わっていて、僕らも大きいのか小さいのか分からない変化を讃えて、またCafe' nookでホットワインを頂くでしょう。僕にはそれが、今から、楽しみでなりません。
改めまして、お越しくださった方々、ご声援くださった方々。
ことに。多大な応援をくださいました、きんさん。体調をおしてお顔を見せてくださいました、玉さん。
そして、ヘイガさん。...ちくしょう。「cq」、面白いよ。ちくしょう。
cq.cq.cq!まだ見ぬ俺の感性よ、応答せよ!
本当に、ありがとうございました。
再会を心から楽しみに、この一年を締めくくります。どうか皆様、よいお年をお迎えください。
また来年、何卒よろしくお願いいたします。
※「cq.cq.cq.」、素晴らしい原作はコチラをクリックしてご覧ください。
※「よりいと」の脚本公開は未定です。また報告いたします。
朝戸 佑飛