「幻日 」、二度目の再演です。
かつて、処女作「空巣」に出演した橘奈穂、
2作目「乳白」に出演した佐藤修作。
信頼する二人に再度、任せます。
怒れないこと、本気になれないこと。
戦うべき壁の所在、夢や目的の場所。
人の我儘やエゴについて。
あなたに、「敵」はいますか。
二度目の再演です。
「空巣」「乳白」「海月」が、書かなければならないものだとしたら、「幻日」は書けるようになったもの、だと思います。僕の作品は人のエゴや恥が通底したテーマとしてありますが、さらけ出しているようで、どこか叙情的な物語構成や言葉に頼っていた感覚があります。それは逃げであり、言い訳であり、あくまで作品・モノガタリというベールをまとって初めて成り立つものでした。
しかしこの作品は、そういった装飾を一切無くして、ダイレクトに欲望をさらけだしています。
愛もなく、格好もなく、謎も性も死もない。ただそこに人がいる。関わりがある。
区切りをつけた後の一作目として適切な形が整いました。
『俺ね、怒れない奴が一ッ番、嫌いなんですよ』
「怒れないこと」、「言えないこと」に着目して書いたこの話は、「金田」という役の性格が軸を成しています。
彼の真摯で真っ向勝負の性格と、不満や不安を抱えながら、それを奇譚なく否定できる度胸は、「乳白」という役で佐藤修作が纏ったそれと近しいものがあるでしょう。ただし今回は性という「分かりやすいとっかかり」がありません。日常の中の滲むような情動を彼がどう表現するのか、僕自身の楽しみです。
『本気になれって人は言うけど、じゃあだれが私に本気なの?』
一方、橘奈穂が担う「美樹」という役は、熱くなれるもの、本気になれるものを探しながら、常識や倫理観に囚われてバランスをとっています。自分の道や、自分の信念を確立するための敵がいない。
僕は敵を知らない人間が嫌いです。それを金田に語らせるためのギミックとして対照的に書いたはずのこのキャラクタが、橘が演じることで少し変わった見方ができるのではないかと思っています。今回の美樹が、「敵を作りたくない」から「敵になりたくない」に少しだけ印象が変わった時に、作品がどう動くのか。二度ご覧になった方もぜひ、お楽しみください。
どの作品もそうですが、この幻日もまた僕のエゴです。
黒マスクつけてるやつ、死ね。
喫煙所でアイコス吸ってん奴、死ね。
電車で席譲ったのに座らない奴、死ね。
あまりにも下らない、些細な、解決しなくても生きていける小さな小さなこと。普通には言えない、言うべきではないと思えること。わがまま、押し付け。
僕は、自分でも笑ってしまうようなそんな小さな「怒り」を、忘れたくない。
言いたいことを言いました。当たり前を否定した。
誰しも何かを抑圧して、それが当然だと思ってる。何に本気を出すのか。何に熱くなれるのか。わからない。
今回は戦友と言える二人へ、僕自身が演出いたします。僕の、彼らの、誰かのエゴのお話。
地の文なし、2万字近いセリフの掛け合い。その中の、なにか一文、なにか一言、あなたの心に届くなら。
それが僕の朗読です。今回もまた、よろしくお願い致します。
佐藤 修作
朝戸佑飛 作・演
「乳白」
マコンドープロデュース
「祖国は我らのために」
劇団四次元ボックス全作
くちびるの会
「盗賊と花嫁」
橘 奈穂
朝戸佑飛 作・演
「空巣」
少年社中「天守物語」
劇団ヘロヘロQカンパニー
「DARK CROWS トキノソラ」
Teamドラフト4位
「at Home Coming」
脚本・演出
朝戸佑飛
「Re;幻日」
「お前、怒らないんじゃなくて、怒れねーんだよ」
28歳、お笑い芸人、金田。
彼はいつも、何かに腹を立てている。
「普通にしかなれない人間もいるんです」
本気になれって人は言うけど、じゃあだれが私に本気なの?
夢も希望もなくちゃダメですか。怒れなきゃダメですか。
私には、彼の言うことの半分も理解できません。
目を閉じてさえいれば、そこが暗闇でも、関係なく暗闇でいられた。
幸せは不幸のババ抜きだ。
日程 / 2017.10.01(日) 17:00~ , 20:00~
※開場は開演時間の30分前、上演時間は約40分です。
※終演後、1時間程度の歓談の時間がございます。
会場 / Cafe' nook
東京都渋谷区代々木1丁目37-3 岩崎ビル地下1階(代々木駅「北口」より徒歩1分)
03-3373-7009
料金 / ¥3.500(1ドリンク付き)
※2杯目以降、キャッシュオン。食事もございます。
出演 / 佐藤修作 , 橘奈穂
※ご予約は当記事への書き込み、当HPお問い合わせ、
もしくは役者までお問い合わせください(役者名クリックでTwitterへ)。
主催 / 株)Act・Arkham
お問い合わせ / プロデュース・朝戸佑飛
yuhiasato@gmail.com
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