2017.6.18(Sun)、
「Re;幻日」、無事に終演いたしました。
この記事ではご挨拶と一緒に、
作品テーマでもあった
「怒り」や「エゴ」について、綴っています。
脚本公開もしていますので、ぜひご覧ください。
(無断使用・転載はお控えください)
ご来場いただいた皆様、ご声援くださった方々、
そして演出の菊地さんとキャストのお二人。
心より感謝申し上げます。ありがとうございました。
「Re;幻日」、無事に終演いたしました。
お越しいただいた皆様、ご声援くださった皆様、誠にありがとうございました。
演出の菊地さんはじめ、キャストの二人(金海用龍、遠藤葵)が、初演ともまた違う作品に仕上げてくれたと思います。出演→照明をしたので明確には分からないのですが、双方いらしてくださったお客様全員がそのように言ってくださったこと、嬉しく思います。初演に比べ、より等身大の人物像が形になったのではと感じています。
脚本を書いた身として、演出・キャストがそれぞれ向き合い作品を立ち上げてくれること、これ以上の喜びはありません。最初に机に向き合って書き上げた昨年の11月、深夜。たしか熊本城とのチャリティ企画の打ち合わせのため向こうのホテルにいたと思います。
その時、半年後にこのような機会が訪れるとは思ってもみませんでした。金海用龍と出会ったことで書き上げた作品でしたが、当時は相手キャストが見つからず断念。そして八焔座「灰色オセロ」オーディションにて遠藤葵に出会います。
遠藤さんとは最初の縁には恵まれませんでしたが、「Re;幻日」にてようやく二つの点が線になりました。
○「怒り」について
案内文にも書きましたが、この作品もまた、僕のエゴに塗れたお話でした。
「普通になりたい奴って、狂ってる。俺にはわかんねー」
作中で用龍が担った「金田」の言葉です。自分なりの普通を貫くことを、いつしか人は当たり前のように諦めていきます。それは世間一般の普通(空気や常識といった平均値)に合わせるよりもずっと、困難な道だからです。
誰かを傷つけることにもなるでしょう。繋がった縁を放棄することにもなるでしょう。
それでも僕は、自らを殺すことに異を唱えます。
「大事にできる人の数なんて限られてるんですよ」
これは遠藤が纏った「美樹」の言葉。人のキャパシティや、両手に抱えられる他者の数・質には限りがあります。全員と「それなり」を通していけば、どんどん分配が進んでいく。やがて、ほんとうに大事なものを大事にできなくなるタイミングが必ず訪れます。
怒りとは確認です。
怒りとは型取りです。
自分のテリトリーと、自分の意思を通すエゴは、たしかに自分も他人もあるいは傷つけるかもしれない。
それでも、余計なものを排除して、いま抱えているものをより大切にするためのステップだと思います。
怒りそのものが大切なのではなく、「怒れる要素」を己に見出すこと、知ることに真価があります。
「幻日」は、その想いを物語の形を借りて表現した作品でした。
多くの人に受け入れられるものではないと思います。
誰かを攻撃することにもなる作品だったと思います。
正誤でもなく優劣でもない。ただ、ここに僕という人間を強く打ち出した。
わたしと、あなたの境界線を担う作品だった。その上で、あなたと誰かの間にあるものを浮きぼりに出来たなら、幸せに思います。
改めて、演出の菊地さん、二人のキャスト、そしていつも温かく迎えくれるCafé nookのマスター。
ありがとうございました。
以下に脚本を公開致します。ご自由にご覧下さい。またお披露目する機会もあると思います。
その日を、心待ちにしています。
朝戸 佑飛
○あらすじ/脚本公開
「Re;幻日」
「お前、怒らないんじゃなくて、怒れねーんだよ」
28歳、お笑い芸人、金田。
彼はいつも、何かに腹を立てている。
「普通にしかなれない人間もいるんです」
本気になれって人は言うけど、じゃあだれが私に本気なの?
夢も希望もなくちゃダメですか。怒れなきゃダメですか。
私には、彼の言うことの半分も理解できません。
目を閉じてさえいれば、そこが暗闇でも、関係なく暗闇でいられた。
幸せは不幸のババ抜きだ。
※脚本ダウンロードは《こちら》